「子どもが3歳まではお母さんが愛情いっぱいに子育てをした方が良い」というのを聞いたことがありますか?
そうでないと、お母さんからの愛情不足が子どもに悪い影響を及ぼしてしまうということを信じている人もいるのではないでしょうか。
「私が働くことは子どもにはかわいそうとは思うけど、仕方のないことですよね。」と聞いたばかりです。
だいぶ減ってきているとは思いますが、今でもお母さん自身が、または周囲の人たちが「保育園に通う子どもはかわいそう」と思っている人もいるようです。
「三つ子の魂 百まで」という言葉もあるように、3歳までの子どもへの関わりがとても大切という意味ではその通りなのかも知れません。
しかしこれは【3歳児神話】と呼ばれ、根拠のないただの言い伝え、迷信という解釈もされています。
私自身も果たして本当にそうなのかという疑問を持っている1人です。
ではなぜ【3歳児神話】が信じられているのでしょうか。
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【3歳児神話は社会環境が作りあげたもの】
まず社会環境の変化が大きく関係しています。
多くの方がご存知のように、かつては夫婦共働きの家庭よりも専業主婦の家庭の方が多かったので、少し言い方は乱暴かも知れませんが、
女性は花嫁修業をして家事ができれば結婚することができ、企業に就職しても「寿退社」、「結婚は永久就職」、そして「専業主婦」という言葉が生まれました。
当時の日本は経済成長期、人口は増え日本という国自体が成長していました。
数の多い専業主婦の家庭を前提として経済社会は成長をしていたので、「母親の手で子どもを育てることが良いこと」とされていました。
「男性は外で働き、女性は家庭を守る」。
そんな家庭のカタチで日本経済がうまく回っていた、そしてこれを続ければ子どもが生まれ人口は増え続けると信じられていたのだと思います。
しかし、出生率はどんどん低下、今はもう少子高齢化、人口減少社会です。社会環境は大きく変わってしまいました。
生まれる子どもが少ない大きな理由は、経済的な不安感だと言われています。
子どもが生まれて「自分も働かなきゃいけない。働きたい。でも子どもと一緒にいたい。」そんな葛藤があるのは当然のことです。
また、その成功体験をしている世代の人たちが「子どもはお母さんが育てないとかわいそう」と思ってしまうことも無理はないと思います。
社会環境が大きく変化をしているので、家庭のカタチもどんどん変化をしています。
愛情不足が子どもに良くないことだとしたら、葛藤を抱えているなどお母さんの精神状態が良くない状況で、子どもへの愛情が伝わるのでしょうか。
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両立キャリアスクール 田頭あやこ