その後も、生活も態度を変えない夫に私が放った一撃のひと言があります。
「父親の役割はお金だけだと思うなら養育費と同じなので離婚します。」
私は少しずつ母親らしくなってきて、夫もほとんど仕事で家をあけているということを除けば、息子とは楽しく過ごしていました。
大きな問題があったわけではないので、夫に対して溜まっていた不満が爆発して怒ったわけでも、本気で離婚をしたかったわけでもありません。
単純に、お金を運んでくるだけの父親なら、結婚していても離婚をしても同じだと思ったので口にした、というだけの真顔でのひと言でした。
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これは家庭に対する私の価値観だったのだと思います。
もしかしたら、夫は変わらず仕事人間、私はワンオペ育児でも社会復帰をして、なるようになっていたのかも知れません。
こういう家庭があっても良くて、家族みんながそれで良ければ、そんな家庭のカタチもあると思っています。
でも私の場合は、私1人の価値観だけで子どもを育てるということが、私にとっては荷が重すぎるということと、
息子にとっても、夫にとっても「息子と父親という時間」を過ごして欲しいと思ったので、私は夫と2人で子育てがしたいと強く思ったようです。
この私のひと言で、夫の何かが急に変わったということはなかったと記憶しています。
でも、息子が中1になった今、あきらめなくて本当に良かったと思っています。
当時は自分の感覚的なものだったのですが、これは、私がダメな母親だったからではなく、夫のせいでもなく、もちろん子どものせいでもなく、
日本を取り巻く社会環境の課題だということを、私は後に知っていくことになりました。
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今まで11年くらい、さまざまなライフスタイルの女性のみなさんと関わってきて、私と同じ悩みを抱えている人がたくさんいることを知りました。
「女性だから」というだけで、1人で子育てをするのは大変です。
仕事、家事、子育て、介護、ご近所づきあいなどなど、「やらなければならない」ことが山ほどあります。
そして、この「やらなければならない」ことを、全部1人でやろうと思ったら、自分の時間なんてあるわけない。
それに気づいている人はたくさんいて、だから、自分の時間も持とうよ。とか、子育てを応援する活動をしている女性はとても多いです。
「仕事も家事も育児も、両立しようっていうのがもう重いです。」そう言われたことがあります。
おっしゃる通りです。同感です。共感します。
両立を目指すということもそうなんですが、私たちがもっとも大切にしたいことは、
まずは、お母さんが心から笑顔でいること。子どもや夫との生活に幸せを感じられること。
それが、子どもが健やかに育つための一番の育児法であり、日本の社会のためにもなると確信をしています。
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両立キャリアスクール 田頭あやこ